名古屋から大塚国際美術館に行って来たよ①行き方研究、②ツアー詳細、③ガイドツアー からの続きです。
ガイドさんと別れてから、好きな絵画を見て回ることにしました。何せ5時間のコースなので、ガイドさんと1時間ちょっと過ごしてもまだまだたっぷり見学時間があります。
プラド美術館で実際に見た絵画と比較して
ベラスケス
まずは、もちろんベラスケスさまの部屋でラス・メニーナス再びです。ちょうど2か月前(2018年12月)、スペイン・マドリード一人旅でプラド美術館で念願のラス・メニーナスを鑑賞して大感激しました。いつかいつかまたマルガリータ王女さまにお会いできる日が来ればいいなと思っていましたが、こんなに早くその日が来るだなんて嬉しいな。マドリード一人旅は下記からよろしければどうぞ。
地下2階バロック期の絵画の中にベラスケスの部屋はありました。番号51です。入り口からすぐに、ラス・メニーナスが見えました。マルガリータ王女さま、お久しぶりです。プラド美術館のベラスケスやゴヤ・ルーベンスについてのあれこれは、こちらでくどいほど書いてしまいましたので、よければどうぞ。
ベラスケスの代表作・ラスメニーナス(女官たち)。この絵はプラド美術館の至宝の作品なので、プラドから外部に貸し出しされることは絶対にないそうですから、ここでしっかり見ておきましょう。
さすがに本場プラド美術館で見たときのような光を放つような輝きはなかったですが、大きな等身大の絵画、美しかったです。陶板の継ぎ目を心の目でカットすれば問題なし。温かな可愛らしい絵画の雰囲気はしっかり伝わってきました。マルガリータ王女をプラド美術館よりも、ずっと間近で見られたところが本当によかったわ。
ベラスケスは、ダヴィンチ・ゴッホ・フェルメールほどは一般的ではないようで、この部屋に入ってくる人があんまりいませんでした。来ても、ちらり、ふんふんって感じで誰も写真を撮らないし。私のマルガリータ王女さまは、私だけのものと思ってもよござんすね。
誰もいなかったので、マルガリータ王女とツーショット自撮りを何枚も何枚も撮らせてもらえたわ。王女ちゃんと手を繋いだ写真も撮ったもんね。嬉しい。
[ 触れる美術館ですから、こんな風に畏れ多くもマルガリータ王女様と手をつなぐことも出来ましたよ。
ベラスケスの絵で、私はウルカヌスの鍛冶場という作品が大好きなんですよね。アポロンがヴィーナスとマルスとの不倫に気づいて、ヴィーナスの夫ウルカヌスの職場までわざわざ告げ口にやって来るという場面です。ウルカヌスの同僚(弟子?)たちもたくさんいるところで、得意げに報告するアポロンのアホっぽさが笑わせてくれるわ。アポロンはヴィーナスに振られた腹いせにこんなことをしたらしいです。ギリシャ神話の神様たち、人間以上に人間くさくて本当に面白くて好きです。本来ならばイタリアで修行したベラスケスの描く遠近法などの技法や男たちの筋肉の描写などを愛でる絵画のようですが、私には小学生の子どもみたいに言いつけに来たアポロンの姿しか目に入らないです。
左側の頭が輝いているのが太陽神アポロン。彼は美と愛欲の女神ヴィーナスと軍神マルスが不倫しているのを見つけて、ヴィーナスの夫で鍛冶の神ウルカヌス(アポロンの隣)に告げ口に来た場面。ウルカヌスの神様とは思えないようなしょぼくれたおじさんぽさも面白い。
他にも思った以上にプラド美術館にあるベラスケスの作品がたくさんありました。なんて素晴らしい!ベラスケスの部屋にも椅子があるので、座ってゆっくり心ゆくまで鑑賞出来ました。ここの美術館は、絵画の前にたくさん椅子があるので、自分のペースで休み休み見学できるところが本当にいいですね。
中段中央が上記ラス・メニーナスのマルガリータ王女のお父さん・フェリペ4世、その両側が彼女のお兄さんのバルタサール皇太子です。ベラスケス様の素晴らしい作品の数々をこんな風に十把一絡げにしてしまって大変申し訳ありません。
ベラスケスの作品は写真は撮りませんでしたが、他にも数点ありました。プラド美術館の感動再びでした。ブラボー!
プラドにはない作品「セビーリャの水売り」という「なんて美味しそうな水!ぜひ飲みたい!」と思わせるようなリアルな水のしずくが描かれている絵画を見るのを忘れてしまいました。ちょっと離れたところにあったのよね。また次回のお楽しみにします。
ルーベンス
(こちらの美術館ではリュベンスと記載)
プラド美術館でルーベンスの三美神を見てから、すっかりルーベンスの大ファンです。ここの美術館にもルーベンスがたくさんあるそうで楽しみにしていました。そういえば、フランダースの犬でネロが死ぬ間際に見た絵画もルーベンスでしたね。まさにそのキリストの絵画もありました。でも、今回いちばんのお気に入りは最初の妻とのツーショットを描いたルーベンスとイザベラとの肖像画で、ルーベンスのいい男っぷりがナイスでした。
三美神。豊満でほがらかな女神さまたちの明るい雰囲気が好きです。両側の女神さまは、前妻(死別)と現妻をモデルにしたそうです。ルーベンスのお気に入り絵画だったようで、彼が死ぬまで自宅に飾ってあったそうです。
鏡を見るヴィーナス。豊満でよろしいです。
ルーベンスとイザベラの肖像。ルーベンスと最初の妻との仲良し肖像画。ルベンスの男っぷりがなかなかですね。
フランダースの犬の「パトラッシュ、なんだかとっても眠いんだ」の場面でネロが最後に見たアントワープ大聖堂の「キリスト昇架」
ルーベンスと言えばルーブル美術館のマリー・ド・メディシスの生涯シリーズも有名ですが、彼女は大した功績も美貌もないのに、お金にあかせて大巨匠ルーベンスにとてつもなく壮大な絵画を連作で描かせて、本当にイヤな女だわと私は思ってしまいます。もちろん作品自身は素晴らしいと思います。
マリー・ド・メディシスがマルセイユに上陸したら、あまりの美しさに女神たちもびっくりという場面ですが、実際はこんな盛大な出迎えもなくとびぬけて美しくもなく普通だったそうです。まぁ、いつだって権力者は美化し放題ですよね。マリーを嫌いだからじゃないけど写真がボケボケでした。
ゴヤ
ゴヤの黒い絵シリーズは、ゴヤの家となって環境展示となっています。薄暗いろうそく(電気式)が灯る部屋であの黒い絵・怖い絵が並んでいます。ろうそくの薄明かりで見る黒い絵シリーズはなかなかの迫力でした。でも肝心の我が子を喰らうサトゥルヌスは無かったよね?他の場所にあったのかしら?見落としたかなぁ?
黒い絵シリーズ。ろうそく(電気式)の灯された暗い部屋に展示されています。
黒い絵近くの部屋でプラド美術館で見てあまりの生々しさにぞぞぞーっとしましたカルロス4世の家族という集団肖像画を見ましたが、全然怖くも生々しくもなかったです。なぜだろうか?本家では浮き出てくるような奇妙な感じに見えましたが、やはりそこまでは再現出来なかったかな。なんとなく照明のせいかもしれないけど、人物がはっきり見えなかったんだよね。ぞぞぞーっというのを少し期待していたからこれは残念でした。
カルロス4世の家族 王妃の邪悪さが全然感じられませんでした。照明の関係かぼやけてしか見えなかったのよね。プラドで感じたおどろおどろしさをもう一度体験したかったから残念。
着衣のマハ、裸のマハは並んで展示でよかったです。プラドでは現在、裸のマハは特別展で展示されていて別々になっているので並んでいたのを見られてよかったです。
エル・グレコ
プラド美術館でも何点か見て、日帰り観光したトレドの大聖堂とサント・トメ教会でも一点ずつ見て、とっても大好きなエル・グレコの絵画をこちらでも見ました。地下3階のシスティーナホールのある階にあります。
トレドで見て大感動したオルガス伯の埋葬もありました。オルガス伯の埋葬を手伝うために地上に降り立った二人の聖人のきらびやかな衣装がとても美しく、特に向かって左の聖人などは光源氏のように美しくこの絵画は大のお気に入りでしたが、やはり、こちらではそこまでの感動はありませんでした。
オルガス伯の埋葬 篤志家であったオルガス伯の葬儀に二人の聖人が舞い降りて埋葬を手伝ったという伝説に基づく作品。実際に見たのよりは華やかさが足りないような気がしたな。
祭壇衝立復元は、結構高いところにあり、間近で見られなかったのが残念。
祭壇衝立復元 とても煌びやかでよかったですが、衝立が高すぎて上の方があまり見えなかったの。梯子でもかけといてもらいたかったわ。
実物と比較しての感想
陶板名画はどれも素晴らしかったです。特にナポレオンの戴冠式の大きく美しい絵画はびっくりするし感動しました。
でも、実際2か月前にプラド美術館やトレドで見て、大のお気に入りになった絵画については、本物の方が何かもっと美しさだったり荘厳さだったり恐ろしさだったりと心に訴えるものがあり、迫力が違うなぁと思いました。これは複製の陶板画なのですから、あまりにも当然のことですね。結構好きくらいの絵画なら全然問題なく楽しく見学出来ました。
超お気に入り作品に関しては、思い出補正も多分に入っているだろなというのが正解かもしれません。
その他の絵画などいろいろ
ピカソ
2か月前にソフィア王妃芸術センター(スペイン・マドリード)で見たゲルニカを見ました。本家で見ても、ああ、ゲルニカだねと思っただけだったので、ここでもやっぱりそう思っただけでした。とてつもなく大きな絵画で迫力はあるけどね。
ピカソの絵画は他にもたくさんあったのに、見損ねてしまいました。だいたいバロック期くらいまでしか見る時間がなかったのよね。また次回に期待。
3.5M×7.8Mの巨大絵画です。こういう大きなサイズの絵は、写真では到底想像も及ばない迫力がありますね。
モネ
モネの睡蓮が外にぐるりと円になって展示されています。15年ほど前、ニューヨーク近代美術館が新装オープンしたときに見たことがありますが、大きなキャンパスに黒っぽい絵の具でグネグネ描いてあるような全然美しいとは思えなかった記憶です。なにしろ暗くて何が描いてあるのか分からない感じでしたが、こちらで見る睡蓮はお花も鮮やかできれいでした。外で見るお花の絵はいいものですね。この美術館には季節には池に本物の睡蓮が咲くそうです。見に行ってみたいわ。
こちらのモネの大睡蓮はオランジェリー美術館のものです。
ひとつ上の階(1階)から見たモネの大睡蓮エリア。紅白で米津さんが歌い終わったあと、ここからフワーっと光が空に向かって伸びたところですね。海も見渡せるいいところですね。
スクロヴェーニ礼拝堂
システィーナホールとともにSNS映えスポットとして有名な環境展示ですね。ここでは、実際に結婚式も挙げられるそうです。
壁面には、「ユダの接吻」の場面が描かれた壁画もあります。
ユダの接吻。ユダ(黄マント)が兵士にあらかじめ自分がキスをする男がイエスであるから捕らまえるようにと告げてからイエスにキスをする場面です。宗教的にシリアスなシーンでしょうが、なんとなくユダの姿が滑稽ですわね。
その他いろいろ
その他いろいろ見ました。たくさんあり過ぎてきりがないです。とりとめもなく書き連ねます。
クリムトの接吻。江戸時代の日本の屏風画のような金色がとてもきれいでした。
フランス・ルイ15世の寵姫ポンパドール夫人の肖像画。彼女は美しいだけでなくとても賢い女性で、政治に関心のないルイ15世に代わって政治の上でも辣腕をふるったそうです。美しい人だなぁ。おまけに賢いなんてすごいね。
フェルメールは大人気でした。ひまわりは一コマ空いたから入れただけでフェルメールとは関係なしです。
ムリーリョのマリアさま二点。1650年頃の作品ですが、マリア様はまるで現代の美少女のようですね。はかなげでとても可愛らしい。
ダヴィンチの洗礼者ヨハネ。とても気になった作品です。ヨハネは男性ですが、この人物は男性にも女性にも見えますし、いったい何を指さしているのでしょうね。モナリザばりの謎の微笑みをたたえています。 小さ目の絵画は継ぎ目がないので、私には本物と全く見分けなんてつかないと思いました。名画がたくさんで楽しかったな。
マリウス葉くん
展示ではありませんが、公式アンバサダーであるマリウス葉くんの巨大パネルがあちこちにありました。マリウスくんは年越しジャニーズコンサートで歌って踊っている最中に突然姿を消すイリュージョン(ではなく後ろに落っこちてしまったみたい)で心配しましたが、元気にご活躍されているようでよかったです。ジャニーズ年越しライブでは、年齢の関係で深夜のTVでは長らく舞台に立てず見学している姿をよく見かけましたが、もうこんなに大きな立派なお兄さんになっていたのね、とおばあちゃん目線でしみじみしました。
レストラン
下記二店の他に1階にフルサービスのレストランもあります。
カフェ・ド・ジヴェルニー(地下2階)
ランチと三時のお茶をしました。
最初にレジで注文してお金を支払い、ポケベルのような機械を手渡されて呼ばれたら取りに行くフードコートスタイルです。お水・熱いお茶は無料。中庭(モネの大睡蓮のある池)が見えるテーブルもあり、爽やかで明るいカジュアルなレストランです。
ランチは鶏かつ丼1,000円をいただきました。味・量ともにまずまずです。食事メニューは1000円くらいでカレー、丼モノなどが数種ありました。
三時にケーキセット700円をいただきました。コーヒーはカップに2杯半くらい入るポットで饗されます。コーヒーは二人でひとつで十分(紙コップもあるし)で、一人はセットで一人はケーキ単品でいいくらいかもしれません。私はコーヒー大好きだから一人で2杯半余裕ですが。
コーヒーはポットでカップ2杯半くらい入っていました。ケーキは好きなものを選べます。これはチョコレートケーキ。美味しかったです。
ムンクのどら焼きセットが大人気でした。私も食べたかったけど、コーヒーでなく日本茶付きだったからパスでした。やっぱり3時はコーヒーでないと。 ケーキはいろいろ種類がありました。
カフェ フィンセント (地下三階)
ゴッホのひまわりをモチーフにしたカフェです。地下三階にありそれほど広くはありませんが、出口に近いので集合時間まで休憩して待つのに都合のよいカフェですね。
ミュージアムショップ
地下3階(システィーナホールのある階)にミュージアムショップがあります。さすがに日本のお土産物屋さんは素敵なものばかりで心躍るわね。お菓子もモロゾフとかちゃんとしたところが作っているもので安心。
私は唯一こちらでほしいと思って楽しみにしていたものがあります。それは陶板のラス・メニーナスの絵画です。絵はがき大の小さなもので、マルガリータ王女と女官ひとりがクローズアップされたものです。額付きで3,240円です。割れるといけないので、どこに飾ったらいいのか思案中。
陶板のマルガリータ王女をお迎え出来て嬉しい! 額込みサイズ:20×24cm厚さ1.5cm 陶板のみサイズ:10.5×14.7cm厚さ0.4cm 重さ:約300g
娘に頼まれて、フィンセントの便箋なんていうのも買いました。540円。なかなかおしゃれで可愛いです。
フィンセントの便箋とは洒落がきいているのね。
海外の美術館のお土産物屋さんは、オシャレすぎたり、古臭かったりして、なかなかちょうどよい可愛らしいものが少ないので、ここでの品ぞろえはわくわくしましたよ。よかったです。
こちらのミュージアムショップの商品はAmazonでも購入可能です。Amazonでは他にもたくさん大塚国際美術館の商品を取り扱っているので、行く前にどんなものがあるのかちらりと調べてから行くといいと思います。
ひまわりスポットがたくさん
ゴッホの7つのひまわりの絵画にちなんで、あちこちにゴッホやひまわり関連スポットがたくさんありました。華やかで素敵でしたよ。私みたいなおばさん達が、ひまわりのかぶりものをして楽しく記念撮影しているのを見るとこういうとき一人だとつまらんないわねって思いました。他にもフェルメールの真珠の耳飾りの少女になりきり撮影が出来るコーナーもありました。いいなぁ。おばさんだけどやってみたかった、、、、
ひまわりのかぶりものをかぶって、記念写真が撮れますよ。かぶりものはたくさんあるので、グループでの撮影も出来ます。いいなぁ。
大塚国際美術館を訪れての感想
いや~、とにかく素晴らしいところでした。日本にいて、ここだけで、世界中の素晴らしい絵画が見られるなんて、日本一高い美術館なんてとんでもない!本当に儲けものですよ。
私の場合、ガイドツアー1時間強、ランチとお茶で1時間、ミュージアムショップ30分で、残りの2時間少々が好きなところを見て回ったという感じでしたが、まだ全然時間が足りませんでした。あらかじめ所蔵作品リストで予習をしておいた必要最低限だけはクリアしたかなと言う感じですね。また、もう一度ゆっくり来られればいいな。所蔵作品リストは公式HP内にあります。「大塚国際美術館 所蔵作品」で検索をかければ見つかると思います。地下三階のインフォメーションデスク辺りでもマップとともに所蔵作品リストが自由に取れるようになっていました。
ここの美術館のことを調べているときに、ここの美術館の絵画のことを全てニセモノと書いている人がたくさんいて、ニセモノとはちょっと違うとも思うんだけどまぁまぁこれはいいとしよう、しかし、どこか忘れたけどで贋作(がんさく)と書かれているのを見て、びっくりしました。贋作というのは、真作と偽って売りつける詐欺のときに使う言葉だと思っていましたが違うのかな。
確かに本物ではないけど、再現力は素晴らしいから、子供たちが遠足や修学旅行なんかでやってきたりして、世界中の素晴らしい作品を写真ではなく実寸大で見たり触れたりして、一緒に写真を撮ったりしたらあとあとまで思い出に残るし、いつまでも忘れずにいて、将来、何かの役にきっと立つと思うよ。大人でもさ、本家を見に行こうという人が、まず予行演習替わりに見に来てもいいし、私みたいに、本家を見たあとに復習しに来てもいいしね。
ここを見たら、また、プラド美術館に行きたくなっちゃったけど、他にも行ってみたい美術館も増えました。わくわくする経験でした。楽しかったです。
また、いつかここに来られる日があるといいな。
この日はよく歩きました。本当に広いのね。
みむろ
名古屋から大塚国際美術館に行って来たよ。(了)