おばたび~obasanだって旅したい

香港・スペイン・大塚国際美術館・伊勢など楽しい旅の思い出を語ります。

名古屋から大塚国際美術館に行って来たよ③大塚国際美術館ガイドツアー

名古屋から大塚国際美術館に行って来たよ①行き方研究編②バスツアー詳細と大阪名古屋移動からの続きです。

いよいよ美術館を見学しますよ。中は広いよ、楽しいよ~。

いよいよ入館

バスの中で添乗員さんから入館チケットと館内マップを受け取り、正面エントランスから入館しました。まずは、長い長いエスカレーターに乗って地下5階の正面入り口から地下3階に上がります。ここは、米津玄師さんが紅白で歌ったときに、全面にキャンドルが灯されていたところですね。

システィーナホールがどーーーん

まず最初にど~~~~~~んと麗しいシスティーナホールがありました。言わずと知れたあの米津玄師さんが紅白で歌われたところです。あの中継のときには、キャンドルを灯し薄暗くしていましたから分かりませんでしたが、実際に明るいところで見ると、色鮮やかな絵画で彩られているとても華やかなホールでした。バチカンの本物のシスティーナ礼拝堂はいつも大混雑で入場するだけでも行列で中もとてもすごい人でゆっくり見学するのは難しく写真撮影も禁止なので、こちらではゆっくり見学出来て写真も撮れていいですね。

ガイドツアー

ガイドツアーはお勧め

さて、ここから60分のガイドツアーが始まります。案内してくださるガイドさんは、とても美しいマダムで、お話もお上手、声も良く通るし、配慮の行き届いた素晴らしい方でした。大当たりだったと思います。感謝。もっともっとお話を聞いていたかったわ。

若い頃の私は、好きなタイミングで好きな絵を見たいからガイドさんに連れられてぞろぞろ歩くなんてゴメンだわなんて思っていた時期もありましたが、それは大間違い。全く知らなかった興味深いお話がたくさん聞けるし、無駄のない最短距離でいちばんよいところだけを案内していただけて疲れないし、こういうツアーに参加出来るなら是非是非参加した方がよいです。

オリオンツアーにはこのガイドツアーがついていましたが、一般のお客さんでも無料で参加出来るガイドツアーが一日に何回かあるようです。公式HPの「鑑賞の楽しみ方」から「ガイドによる案内」のページで詳細がありますのでご覧ください。本当におすすめですよ。

ガイドさんによる大塚美術館についてのあれこれ話

  • この美術館は国立公園内にあるので2階建て以上の建物を建てることが出来なかったため、山を掘って地下に建物を作りまた埋めた。正面入り口は地下5階!
  • 古代壁画から世界26か国190以上の美術館の所蔵する現代絵画までの西洋名画を原寸大で1000点以上。
  • 原寸大で1ミリの狂いもなし。
  • 陶板に焼き付けて作られているので、焼き窯のサイズに入りきらない大きな絵画は何枚かの板で出来ている。切れ目が主要人物の顔に当たらないように考慮されている。
  • 全ての絵画の原画の著作権・所有者への許諾を取得している。
  • 版権代金だけで500億円以上!しかも永久版権ではない!!
  • いちばん版権が高いものは、エルグレコの絵画で1億3000万円也。
  • 写真撮影OK。触ってもOK。

こんな感じだったかしら。また思い出したら追記します。

システィーナホール

バチカンシスティーナ礼拝堂と全く同じサイズの壁画と天井画が環境空間そのままに展示されています。ただ、本家と違うところは、本家は壁面もミケランジェロ以外の画家によって全面に絵画が描かれていますが、ここでは壁面には一部しかありません。こちらで展示されている絵画はミケランジェロ本人によって描かれた部分のみを再現しているそうです。

バチカンシスティーナ礼拝堂を環境展示。言葉を失う美しさですよ。

天井画は、ミケランジェロが33歳のときから4年半かかって描きました。今のように、地上で描いて天井に貼りつけるような技術がなかったので、足場を組んで上を向いて直接天井に描くというとても困難な作業でした。天井から流れ落ちる絵の具が目に入り目を悪くすることも当然あったようです。天井画は、『創世記』のエピソードから「天地創造」、「アダムとイヴ」、「失楽園」などが描かれています。

天井画。この画像下から神様が太陽と月を作りアダムを作りイブを作り、禁断の実を食べて楽園追放、、、のストーリーが描かれています。

正面の絵画は、最後の審判の場面です。ミケランジェロが60歳から5年かけて描きました。全391名の人物が描かれています。中央のマッチョでイケメンがキリストです。キリストの右側(向かって左)は最後の審判が下されて死者が復活し、天国に上る様子が描かれています。キリストの左側(向かって右側)は、地獄へ落ちる悪の人々が描かれています。三途の川のような川があり、火の山があり、日本で語られる地獄の風景とよく似ているのは不思議ですね。

このミケランジェロによる最後の審判の絵画をあまりにも裸の人が多過ぎて下品だ、まるで風呂屋のようだと批判したローマ教皇儀典長ビアジョ・ダ・チェゼーナという人がいました。ミケランジェロは憤慨し、チェゼーナを地獄の裁判官ミノスとして描き、ヘビに大切なところを噛ませています。ミケちゃん、やるね。

また、ミケランジェロは自身の自画像をキリストの下側の男性が持つ抜け殻のようなものとして描いています。還暦を過ぎてのこの作業に疲れ果てたというところでしょうか。

上部 正面壁画。中央上側のマッチョな男性がイエスで向かって左側が天国へ行く人々、右側が地獄へ落ちる人々が描かれています。 左下写真 ミケランジェロの自画像として抜け殻が描かれています   右下写真 この絵を酷評した教会幹部の姿を地獄のミノスの姿にしてヘビに噛ませています。

システィーナの天井画・壁画は地下3階からもキレイに見えますが、ひとつ上がって地下2階のバルコニーから見るのも素敵です。写真もうまく撮れますよ。また、バルコニー左手の狭い通路にもところどころ窓があり、そこから天井画が間近で見られてナイスですよ。ぜひ行ってみてね。

49の上の空白部分がシスティーナホールの吹き抜けになっています。紫色の矢印方向に写真を撮るときれいに撮れます。また、空白左側の紫ラインの細道の窓から天井画が間近に見えてナイスです。

秘儀の間

2000年前、ベスビオ火山の突然の噴火で街全体が埋没したポンペイの遺跡から発掘されました。2000年も前の壁画がこのような鮮やかなポンペイレッドと言われる赤で残っているなんて不思議ですね。

壁画の解釈にはいろいろあるようですが、「不妊に悩む女性がここにやってきて秘儀(ご祈祷?)を行い、晴れて懐妊しました」のような場面ではないかという説もあるようです。

床のタイルの模様まで全て正確に再現されているそうです。現地では壁画が剥がれ落ちるなど損傷が激しいようで、このようにレプリカでも2000年前のものが後世に伝えられるとは素晴らしいことですね。

サンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂のモザイク壁画

6世紀頃にモザイクで作られた壁画で、最古の「最後の晩餐」ではないかと言われています。左端のイエスが「この中に裏切り者がいます」と言ったときに、隣の人たちはびっくりしていますが、右に行くにつれて人々の目がいちばん右端のユダに向かって集中しているところが面白いですね。

イコン画の光輪

中世の聖書や教会の話を描いた絵画がイコンですが、イコンでは聖人は頭部に光輪が描かれることが多いです。この中でイエスがどれかというのは、光輪の中にうっすらと十字が入っているのでわかるそうです。

右のイエスの光の輪の中にうっすらと十字が見えます。

この絵のイエスはどこでしょうか?赤ちゃんの光の輪に十字がうっすら見えますね。

ヴィーナスの誕生」に見る恥じらいの変遷

1000年の長きに渡った中世が終わると、ルネッサンス期に入ります。この時期は、イタリアの大富豪メディチ家をスポンサーとして、巨額がつぎ込まれて、芸術が一気に花を咲かせました。それまでは、厳格な宗教観からいろいろと制約のあった絵画ですが、この時期よりかなり自由な作風が増えて来たそうです。

ボッティチェッリヴィーナスの誕生(1483年)。ルネッサンス期に入り、神話の題材であればヌードも描けるようになってきましたが、ヴィーナスはまだためらいがちな恥じらいのポーズです。

上記の絵画が描かれてから400年後に描かれたウィリアム・アドルフ・ブグローのヴィーナスの誕生(1879年)。ヴィーナスの堂々としたポーズには恥じらいのかけらもありませんね。

受胎告知(シモーネ・マルティーニ)

受胎告知とは、未婚のマリア様の元に突然大天使ミカエルが訪れて、「おめでとう。あなたは神の子を宿しました。」と告げられる出来事です。ルネッサンス以前では、このときのマリア様は「なんと恐れ多いことでしょう。」と恐れ畏まると相場は決まっていましたが、シモーネ・マルティーニ画、1333年、ウフィツィ美術館収蔵による受胎告知のマリア様は、げっマジ?!と言わんばかりに険しい困惑の表情を浮かべています。大天使ミカエルに至っては、話している言葉がまるで劇画の吹き出しのように文字が描かれています。このようなことはルネッサンス以前であれば神の冒涜として大問題となりましたが、この頃からいろいろと自由になってきたようですね。

大天使ミカエルからは吹き出しの言葉が描かれています。マリア様はなんとなく不機嫌そうに見えますね。

大使たち(ホルバイン・だまし絵)

二人の立派な体格の男性がこちらを向いて立っています。絵の下側に斜めの何か不思議な物体が浮いていますが、これを絵画の右手上くらいから見ますと、全然違うものに見えるんですよ。うまく出来ていますね。また、左上端には、キリストの磔刑像もちらりと見えています。大使様のようにどんなに偉くたっていばっていたって結局最後はこういう姿になるのですよとイエスが諭している場面??とかそんな感じでしょうか?(という説)。

絵画の下に浮かんでいる妙な物体は、右斜め上から見ると骸骨に見えます。左上のカーテンの影からキリストの磔刑像のようなものが見えます。

最後の晩餐(ダヴィンチ)修復前・修復後

原寸大のダヴィンチによる最後の晩餐の絵画が、修復前・修復後と向い合せで展示されています。部屋の中央にはたくさんの椅子も並んでいるので、腰掛けてゆっくり2枚の絵画の違いを堪能出来ます。

どちらが修復後の絵でしょうか?と尋ねられたとき、意外とわからないものなんですよね。私の下手な写真では明らかに修復後の方が色が濃いように見えますが、実際に見ると修復後の方が色が薄くなっている部分も多いんですよね。この絵画は保存に適さない方法で描かれており、おまけに食堂の壁に描かれたものだったので、調理の湿気などで、ダヴィンチ存命の頃から既に劣化が始まっていたそうです。何度となく修復(上塗り)を繰り返し、もはやダヴィンチの手による色彩もなくなってしまったものを、1977年から21年の年月をかけて修復をし、現在の姿となりました。特殊な機械で判明する絵の具が塗り重なっている部分を丁寧に剥がして行く作業で、一日にわずか3センチ四方程度しか進まないような難しいことだったそうです。

上が修復前、下が修復後のダヴィンチによる最後の晩餐

修復後に、イエスが口が半開きであること、足が描かれていたこと、裏切り者のユダが裏切りの報酬として受け取った金貨の入った巾着袋がはっきりと描かれていることなどが分かりました。巾着袋はユダの必須アイテムなので、これをしっかり描かない昔の修復はちょっとあり得ませんよね。

この絵は遠近法で描かれていますから、右側から見るのと左側から見るのでは、両サイドにあるタペストリー?木枠?の幅が違って見えるのがとても不思議ですが、これはこの手法で描けば誰でも出来るそうです。私は絵心ないのでたぶん出来ないですが。

右側に寄ったり、左側に寄ったりするとタペストリー?木枠?の幅が変わって見えます。遠近法で描くとこうなるらしいね。不思議だわ。

モナリザ

有名なルーブル美術館モナリザも、ここでなら間近で心ゆくまで見られます。ルーブルで20年前に見たときは確かロープも張られていたし、絵はガラスで覆われていました。近くでじっくり見られるっていいですね。

大人気のモナリザ。行列して写真撮影をしました。

モナリザも遠近法を用いて描かれているので、右にいても左にいてもモナリザと目が合うことが出来るんですよね。また、右側から見るのと左側から見るのではガラリと表情が変わります。ふっしぎです。

ダヴィンチはモナリザを、輪郭線を使わないスフマート(イタリア語でぼやけたという意味)という技法を使って描いています。この効果で、モナリザの神秘的な雰囲気がいっそう高まったそうです。

モナリザは大人気。いちばん人気かな。空いていた平日でも唯一ここだけは行列に並んで写真を撮りました。

皇帝ナポレオン一世と皇后ジョセフィーヌ戴冠式

ルーブル美術館で2番目に大きな絵画です(ちなみに最大サイズはカナの饗宴)。ここ大塚国際美術館では最も大きな絵画です。本当に大きいです。想像のたぶん三倍以上ありますね。幅10メートル高さ6メートルあります。

幅10メートル高さ6メートルの巨大絵画ですが、写真にするとちっぽけになってしまいますね。是非ルーブルの本物かこちらの美術館のレプリカでこの迫力と美しさを体験していただきたいわ。

ナポレオンのことは好きではありません。ハプスブルグのお姫様を無理矢理お嫁に来させてしまったりとか権力のモノ言わせて、、、という感じでいけ好かないのだけど、この絵画は美しいですね。ほっこりはしない(絶対しない)けど、華やかな美しい絵です。

ナポレオンに皇帝の冠を載せる役割は本来教皇の役目ですが、最初の構図ではナポレオン自らが頭に冠を載せようとしました。しかし、それではあんまりだということで、皇后ジョセフィーヌにナポレオン自ら戴冠しようとしている場面です。本来の役割を無視された教皇の憮然とした表情が見てとれますね。

ナポレオンとジョセフィーヌ部分のクローズアップ。きらきらと豪華絢爛な美しい絵画ですね。

皇后ジョセフィーヌはこのとき41歳だったのですが、まるで18歳そこそこの女性のように美しく若く描かれています。また、ナポレオン自身も身長を10センチほど盛っているそうですよ。まぁ、権力者さまのご命令ですからね、描きますよね、美しくね。

この絵画に描かれているたくさんの人々は全てどこの誰とまで判明しているのですが、一人だけ実際はここには来ていないのに、ここにいたことにされている人がいます。それは、ナポレオンの実母なんですが、なんでも、お母さんはナポレオンの兄をとても贔屓していてナポレオンとは折り合いが悪かったので来なかったそうです。いくら折り合いが悪かろうが、実の息子の皇帝就任式だったら、普通来るよね~。でも、きっとナポレオン、よっぽどイヤなやつだったんだと思うよ、うん、きっとそうだね。

ゴッホの7つのひまわり

ゴッホは27歳で画家になり37歳で亡くなるまで、たった10年間の画家人生だったそうですね。あんなに有名な人なのに、たった10年だったとは驚き。

ゴッホのひまわりの絵画7点は世界中に散らばっており、一点は個人所有のもので決して世間の目に触れることはないし、一点はその昔日本で火事のため焼失しました。焼失したひまわりは、画集から復元しました。

ゴッホの7つのひまわりが一挙に見られます。

7つの全てのゴッホのひまわりが並んで展示されているなんて、素晴らしいことですね。実際に夏に庭のひまわりを摘んで来て描いたものや、ひまわりのない季節に自分がかつて描いたひまわりの絵画を見ながら描いたもの、心乱れて絵の具を厚く塗りまくったもの、、、、など、同じひまわりという題材でもいろいろで面白いです。絵の具を塗りまくったひまわりは、本当に触ったら指を切るのではないかというほど、塗り重なっているのがよく分かります。ここの美術館の再現力は本当に素晴らしいですね。

ガイドツアー終了

1時間と少しでガイドツアーは終了しました。ここに書いた絵画を全て説明していただきながら観覧しました。1時間があっという間でした。楽しかったです。また参加してみたいです。ガイドさんはもっと的確に素晴らしい解説をしてくださったと思いますが、私が書くとこんな中途半端な解説になってしまいました。すみません。間違ってるところもあるかもしれません。もっとすみません。

長くなってしまいました。ガイドさんとお別れしてから、自由に観覧した絵画の数々とランチ&三時のお茶とミュージアムショップについては、次のページで。