おばたび~obasanだって旅したい

香港・スペイン・大塚国際美術館・伊勢など楽しい旅の思い出を語ります。

2019年11月ハプスブルク展(国立西洋美術館・東京上野)

2018年12月に憧れのプラド美術館(スペイン・マドリード)で見た絵画ラスメニーナスのマルガリータ王女の可愛らしさにとても感動しました。マルガリータ王女の8歳の肖像画があるというウィーン美術史美術館(オーストリア・ウィーン)にいつの日か行ってみたいなぁと思っていたところ、なんと2019年10月に東京上野の国立西洋美術館にやってくることを知りました。ほぼ一年、この日を待ちに待っておりましたの、ほほほ。

他にもベルサイユのばらでおなじみマリー・アントワネットやそのお母さんであるオーストリア帝国の女帝マリア・テレジア、その美貌で国民から大人気であった皇妃エリザベートなどの美しい肖像画の数々、絵画のみならずハプスブルク家ゆかりの美術工芸品、甲冑など100点にも及ぶコレクションが見られます。

楽しみ過ぎて顔のにやけが止まらない。 それからひとつ訂正。私はこれまでずっとハプスブル(濁点あり)だと思って書いていました。ハプスブル(濁点なし)なんですね。今までの記事で間違いまくっていました、恥ずかし。

ハプスブルク展概要

展覧会名

日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史

会期

2019年10月19日(土) - 2020年1月26日(日)

会場

国立西洋美術館(東京・上野公園)

開館時間

9:30〜17:30(金・土曜日は20:00まで。11月30日[土]は17:30まで)※入館は閉館の30分前まで

休館日

毎週月曜日(ただし11月4日(月・休)、1月13日(月・祝)は開館)、11月5日(火)、12月28日(土)〜1月1日(水・祝)、1月14日(火)

観覧料

◆当日券 一般  1,700円 大学生 1,100円 高校生  700円

音声ガイド

【所要時間】約40分
【当日貸出価格】550円(税込)
【ナレーション】花總まり梅原裕一郎

片耳にかけるフックタイプの機器でした。お二人の素晴らしいナレーションと美しい音楽がマッチしていてとても分かりやすく満足度が高かったです。主要22作品の解説と3つのボーナストラックで構成されています。

コインロッカー

100円玉返却式のコインロッカーが入ってすぐと地下のハプスブルク展入口横にありました。身軽でゆっくり見学するために大きな荷物は預けることをおすすめします。

公式サイト

ハプスブルク展|600年にわたる帝国コレクションの歴史

混雑具合

平日だったせいか混雑はゼロ

11月半ば過ぎの平日(金曜日)の開館20分前くらいに到着しました。門の前に10人くらい並んでいた程度。開館と同時に入館しましたが、コインロッカーに荷物を入れたり、音声ガイドをレンタルしたりゆっくりしてから会場に入りましたが混雑は全くなく、どの絵画も最前列でゆっくり鑑賞が出来ました。

所要時間

音声ガイドを聞きながらゆっくり回って1時間半くらいでした。

チケットはWeb購入がお薦め

11時半前くらいに私が外に出たときには、入館待ちはありませんでしたがチケット売り場は少々行列が出来ていました。チケットはWeb購入が出来ます。印刷の必要もなくスマホQR画面を提示するだけ(印刷提示でもOK)なので、出がけにちゃちゃっと済ませてしまった方が時間の節約になりますね。

TBSオンラインチケット

作品

展示作品リストはこちらからも見られます ハプスブルク展作品リスト(PDF)

写真撮影は禁止なので以下の写真は絵はがきや雑誌、無料冊子などを撮影したものです。

エントランス横のパネル わくわくする!

ローマ王としてのマクシミリアン1世(ベルンハルト・シュトリーゲル工房/ウィーン美術史美術館)彼の奮闘によりハプスブルク家は強大になっていきました。婚姻外交(だけではないけど)で世界を掴んだのね。有名な「戦争は他の者にまかせておくがいい、幸いなるかなオーストリアよ、汝は結婚すべし!」というやつですね(誰の言葉かは不明)。

徒歩槍試合用甲冑なのでスカート型。80のパーツから作られている。スカート裾部分には美しい金の模様がほどこされており、実戦用というよりは鑑賞用か?(イェルク・ゾイゼンホーファー他/ウィーン美術史美術館)

神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の肖像(ヨーゼフ・ハインツ(父)/ウィーン美術史美術館)堂々とした面構えの肖像画ですが絵はがきくらいの小さなサイズでした。アルチンボルトに描かせた果物・野菜・花などからなるだまし絵のような肖像画が有名なルドルフ二世はハプスブルク家随一の変わり者と言われてきましたが実は学術と芸術の偉大なる庇護者であり、ウィーン美術史美術館の基盤を作るなど後年評価が高まったそうです。

スペイン国王フェリペ4世(ベラスケス/ウィーン美術史美術館)。 マルガリータ王女のお父さん。国政は臣下に一切を委ね国民からは無能王と揶揄されることもありましたが、芸術を見極める目は確かで、駆け出しの若きベラスケスを見出し庇護しました。祖父のフェリペ2世とともに集めたコレクションがプラド美術館の基礎となっています。

スペイン王妃イサベルの肖像(ベラスケス/ウィーン美術史美術館) フェリペ4世の最初の奥さん。下の画像のマルガリータ王女は二度目の奥さんのこども。

青いドレスの王女マルガリータテレサ(ベラスケス/ウィーン美術史美術館) ふわふわの髪と豪華な銀糸で装飾された絹の青いドレス。愛らしさとともに気品と風格に満ちていますね。ラスメニーナス(プラド美術館)の5歳の姿からすっかり成長してお姉さんぽくなっています。フィアンセのレオポルト1世に成長ぶりを伝えるためにスペインからオーストリアに送られた肖像画

写真はありませんが、マルガリータ王女がオーストリアのレオポルト1世と結婚し数年後の仮装晩餐会の絵画(神聖ローマ皇帝オポルト1世と皇妃マルガリータテレサ宮中晩餐会/ヤン・トマス/ウィーン美術史美術館)も展示されていました。マルガリータ王女の20歳前後の姿かと思われます。大勢がテーブルについているいちばん奥に座っており、小さくしか描かれていませんでしたが、彼女は夫とともに宿屋の夫婦に扮装して楽しげに見えました。実際夫婦仲はとても良かったようです。21歳で亡くなってしまいましたが幸せな結婚生活だったのが分かって安心しました(と親戚のおばちゃん気分)。

皇妃マリア・テレジアの肖像(マルティン・ファン・メイテンス(子)/ウィーン美術史美術館)16人の子どもを生み育て国政も切り盛りするスーパーエグゼクティブ女帝。見るからに強そうだわ。

フランス王妃マリー・アントワネットの肖像(ルブラン/ウィーン美術史美術館)めちゃくちゃ大きいサイズの肖像画です。嫁ぎ先のフランスからウィーンの母親(マリア・テレジア)へ近況を伝えるために送られたもの。高く結い上げられたヘアスタイルは当時の最新流行でしたが、マリアテレジアからは華美すぎると手紙で叱責されたそう。二人の交わした往復書簡は200通にもおよぶそうです。

ユピテルとメルクリウスを歓待するフィレモンとバウキス(ルーベンス工房/ウィーン美術史美術館)知らずにこの絵も見ていてすごく好きな感じ!と思ったら大好きなルーベンス様(工房)の手によるものでした。作業は分業制で建物や果物は得意な画家が担当していたそうです。ブドウのきらきらした瑞々しい感じがよかったです※この絵のみWikipediaよりお借りしました。

使徒パウロレンブラント/ウィーン美術史美術館)男性のヒゲのふわふわ感と顔や手に刻まれたシワがとてもリアルでした。レンブラント30歳くらいの頃の作品。

オーストリアハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の肖像(ヴィクトール・シュタウファー/ウィーン美術史美術館)ハプスブルク家最後の皇帝の姿。度重なる家族・親族の不幸や戦争などで疲弊している様子が見てとれます。

薄い青のドレスの皇妃エリザベト(ヨーゼフ・ホラチェク/ウィーン美術史美術館)ファッションモデルさながらのスリムな体型、ウエストが細すぎる!!私と同じ内臓が収まっているとはとても思えないわ。美しいエリザベートですが窮屈な宮廷の生活を嫌い旅行に出てばかりいたそうです。彼女の時代にはカメラ撮影写真が残っていますが、実際の姿も画家が美しさを盛って描いたものでなく本当に美しいです。

ショップ

美しい王妃たちの肖像画のグッズがたくさんで目移りしました。長場雄氏のシンプルな線画イラストのおしゃれなグッズも人気でしたよ。

絵はがきを3枚買いました。左より、エリザベト・マリーアントワネット・マルガリータ(1枚154円)

2800円の詳しいハプスブルグ展解説書もありましたが、こちらのハプスブルグぴあは写真やイラストが豊富で素人向けに分かりやすく書かれていておすすめです(1430円)amazonでも買えますよ。

無料配布物

展覧会パンフレットと作品リスト

左・国立西洋美術館の小パンフレット 右・ハプスブルク展入場券(デジタルチケット提示でも紙チケットは貰えます)

ランチに訪れた上野駅近くの「肉の大山」さんのレジ横に置いてあった無料の冊子「うえの11月号」。ハプスブルク展とミイラ展のカラー写真と専門家の寄稿文が秀逸。上野近辺の見やすい地図も添付されており今回の旅いちばんの掘り出し物だわ。

少しだけ国立西洋美術館常設展

この後、隣にある国立科学博物館でミイラ展も見る予定でしたので、大急ぎでこの国立西洋美術館の常設展も見ました。ハプスブルク展のチケットで常設展も鑑賞出来ます。

恥ずかしながら日本の美術館に来たのは今回がほぼ初めてです(海外ではミーハーなのでちょいちょい有名どころに行ったりしましたが国内は陶板美術館の徳島の大塚美術館くらいかな)。日本でも、ルーベンスにマネ、モネ、ルノワールピカソゴーギャンなどなどなどなど有名な画家の絵画がこんなにも見られるところがあるのですね。大急ぎで見るなんて本当にもったいなかったです。また今度ゆっくり来ますね。常設展だけなら入館はたったの500円ですって。

大好きなルーベンスの眠る二人の子供を見られたことがとてもうれしいです。

常設展は写真撮影OKです(フラッシュ撮影は不可)。

考える人(ロダン

眠る二人の子供(ルーベンス) ルーベンスの兄の子どもを描いたものと言われています。幼い子どもたちのぶっくらとした赤い頬、ふわふわの巻き毛、すやすやと眠る愛らしい姿。ルーベンスは女性もふくよかに描いていますが、子供たちの福々しい姿には癒されますね。

睡蓮(モネ)

黄色いアイリス(モネ)

男と女(ピカソ

アトリエのモデル(ピカソ

20世紀の絵画の部屋。静かでゆっくり観覧出来ました。

感想

混雑もなくゆっくり見られて大満足です。特にお目当ての青いドレスのマルガリータは本当に可愛らしくてよかったです。ドレスのスカートが横に大きく張り出しているスタイルはスペイン式ですが、オーストリアに嫁いでからもずっとこのスタイルだったそうです。夫のレオポルト1世は彼女のためにスペイン語の歌を作ってあげたという仲睦まじい話を音声ガイドで聞き、心温まったわ。マルガリータちゃん、幸せでよかった。

優雅な展覧会でした。こんなにたくさんの貴重な作品を貸し出してくださったウィーン美術史美術館には本当に感謝します。

みむろ(了)